定期能6月-金剛流-
2017年6月17日(土)※公演終了
第一部は宗家・金剛永謹による能「頼政」。旅の僧は訪れた宇治の里で出逢った老人に誘われ、平等院へ向かう。ここは源頼政が命果てた縁の地であり、老人は頼政の霊であった。やがて僧の夢に法師の姿に甲冑を着けた頼政が現れ、宇治川の合戦を語り、やがて戦いに敗れてこの地で自害した事を述べ、再び回向を乞い草陰に消えて行く。前段は優れた歌人としての叙情的な雰囲気、後段は老体ながら武将としての最期の矜持を描いた名曲。第二部は流儀の重鎮・豊嶋三千春演じる能「葛城」。旅の山伏が大和国の葛城山で大雪の中往生していると一人の女の庵でもてなされる。女は葛城の神であり、役ノ行者に命じられた岩橋を架けなかったため、不動明王の縛縄に苦しんでおり、加持祈祷で苦から救って欲しいと乞う。山伏が女神のために祈祷していると苦を免れた喜びを述べ、舞を舞い、やがて暁近くなると暗い岩戸の内へ姿を消す。人間に近い性格を持った古代の神の気品ある、且つ女性らしさを感じさせる作品。
<第一部>
狂言「附子」
太郎冠者:茂山七五三
主:茂山千作
次郎冠者:茂山千五郎
能「頼政」
老人/源頼政:金剛永謹
旅僧:殿田謙吉
所の者:茂山茂
笛:藤田次郎
小鼓:曽和正博
大鼓:柿原崇志
後見:宇髙通成 豊嶋晃嗣
地頭:松野恭憲
<第二部>
狂言「鎌腹」
太郎:茂山千作
妻:茂山茂
仲裁人:茂山七五三
能「葛城 神楽」
里の女/葛城の神:豊嶋三千春
山伏:高井松男
山伏:御厨誠吾
山伏:野口琢弘
里人:茂山千五郎
笛:藤田次郎
小鼓:曽和正博
大鼓:柿原崇志
太鼓:桜井均
後見:松野恭憲 宇髙竜成
地頭:宇髙通成
解説:金子直樹(両部とも)