能&狂言ミニ事典

このミニ事典では、能・狂言に関する言葉や演目などをほんの少しご紹介しています。
能楽は、あらゆる角度に魅力を持った、どなたでも楽しめる芸能です。
ご鑑賞の前後にご覧いただき、より身近に感じていただければ幸いです。

能楽とは?

「能楽」とは、「能」と「狂言」という異なる性質をもった芸能の総称です。「能楽」と呼ぶようになったのは明治時代以降ですが、そのルーツは奈良時代までさかのぼり、大陸より渡来した散楽という芸能と、日本古来の民間芸能が融合して生まれた「猿楽(申楽)」にあると言われています。室町時代には観阿弥・世阿弥親子が多くの作品を生み、能を大成。狂言とともに現在まで、途絶えることなく受け継がれ、日本を代表する舞台芸術「能楽」として、1957年に重要無形文化財、2008年にはユネスコ無形文化遺産に認定されています。

能は、謡や舞で構成された歌舞劇で、ミュージカルに近い存在です。神、亡霊、精霊など、この世のものではない世界を描くことが多く、物語性を重視します。対して狂言は、台詞中心の喜劇。室町時代の庶民の日常をユーモアたっぷりに描く、いわばコメディで、能と同様に舞と音楽の技術を基本としています。いずれも異なる魅力をもって人間の本質を描きだす、素晴らしい芸能です。