定期能二月-金剛流-
2019年2月9日(土)※公演終了
第一部は宗家・金剛永謹による能「雷電」。比叡山の法性坊のもとにある夜、菅原道真の霊が訪れ、生前師弟であった二人は再会を喜びます。道真は雷神となって内裏に祟るので参内の命があっても従わないで欲しいと告げますが、法性坊がそれを断ると道真は鬼の形相となり、火を吐き姿を消します。やがて法性坊が内裏で祈祷をしていると、雷神となった道真の怨霊が現れ法性坊と争いますが、最後には法力に屈して消え行きます。道真の怨霊が内裏を舞台に暴れまわる、迫力のある曲です。
第二部は流儀の重鎮・豊嶋三千春演じる能「熊野」。遠江国池田宿の女主人の熊野は、京で権勢をふるう平宗盛に仕えています。故郷の母が病を得ていると聞き、暇乞いを願いますが宗盛は聞き入れず、清水寺の花見に同行するよう命じます。人々が花見を楽しむ中でも熊野はふさぎ込み、母を想う和歌を詠みあげると宗盛はようやく帰郷を許し、熊野は故郷へと急ぎます。明るい春の情景と熊野の暗く沈む心という、光と影が際立つ名曲です。
狂言は茂山千五郎家による「貰聟」と「文荷」です。
<第一部>
狂言「貰聟」
舅:茂山千作
聟:茂山千五郎
女:井口竜也
後見:松本薫
能「雷電」
菅丞相/雷:金剛永謹
法性坊:殿田謙吉
能力:松本薫
笛:藤田貴寛
小鼓:観世新九郎
大鼓:柿原弘和
太鼓:徳田宗久
後見:廣田幸稔、豊嶋幸洋
地頭:宇髙通成
<第二部>
狂言「文荷」
太郎冠者:茂山千五郎
主人:茂山千作
次郎冠者:松本薫
後見:井口竜也
能「熊野」
熊野:豊嶋三千春
朝顔:豊嶋幸洋
平宗盛:殿田謙吉
笛:藤田次郎
小鼓:曽和正博
大鼓:柿原弘和
後見:宇髙通成、山田伊純
地頭:今井清隆
解説:金子直樹(両部とも)