能に親しむ−観世流−
2019年4月13日(土)※公演終了
毎年恒例の「能に親しむ」シリーズは、能の約束事や道具の解説ほか、様々な角度から能楽を楽しめる公演です。能楽師自身がじっくり解説する事により、能楽師たちがどのように公演に取り組んでいるのか、その内側を垣間みることができます。能は、坂口貴信による『鵜飼』。旅の僧が一夜の宿を求めたお堂で鵜使いの老人に出逢います。僧は老人に殺生を止めるよう戒め、昔このあたりで親切にされた宿の老人にも同じような忠告をしたことを話すと、鵜使いは、その老人は殺生禁断の場所で鵜飼をしたため、川に沈められて殺された事を話します。自分こそその鵜使いの霊であると語り姿を消します。僧が老人の霊を弔っていると地獄の鬼が現れ、鵜使いは地獄送りになるところ、生前、僧に宿を貸して親切にした善行と経の功徳によって老人は極楽送りになったと告げ、法華経の有難さを讃えるのでした。
「阿漕」「善知鳥」と共に<三卑賤>と呼ばれる曲で、生業のための狩りにもかかわらず殺生の罪で地獄に落とされた亡者が生前の狩猟の様子を再現することによって救済される姿を描いています。また、ワキの僧を言外に日蓮上人である事をほのめかしている、法華経礼賛の趣きが強い作品です。
仕舞「箙」
藤波重孝
仕舞「夕顔」
髙梨良一
地頭:岡庭祥大
解説
関根知孝
能「鵜飼」
鵜飼の老人/地獄の鬼:坂口貴信
旅僧:殿田謙吉
従僧:大日方寛
里人:山本泰太郎
笛:八反田智子
小鼓:幸信吾
大鼓:大倉栄太郎
太鼓:大川典良
後見:髙梨良一、髙梨万里
地頭:関根知孝