定期能九月-観世流-
2019年9月14日(土)※公演終了
第一部は武田尚浩による「井筒 物着」。『伊勢物語』を題材にした、在原業平との恋を回想する物語です。旅の僧が奈良から初瀬への途中で訪れた在原寺で業平と紀有常の娘の後世を弔っていると、業平ゆかりの女に出逢います。その夜まどろむ僧の夢に紀有常の娘の霊が現れ、業平の形見の直衣を身に着け美しく舞を舞います。業平の面影に自身を重ね合わせて井戸の中を覗き込む姿、また言葉の美しさにもご注目ください。
第二部は関根知孝による「通小町」。洛北八瀬の里で夏の仏道修行を行っている僧のもとへ毎日訪れる女があり、女を小町の霊ではないかと察した僧は市原野に行き亡き跡を弔います。やがて小町の霊と深草少将の怨霊が現れ、少将の怨霊は僧の求めに応じ百夜通いの様を見せ、やがて小町も少将も共に成仏します。驕慢な小町の気まぐれに翻弄された、少将の妄執の凄まじさが昔語りに垣間見られる名曲です。
狂言は三宅右近家の出演。各回冒頭に演目解説があります。
<第一部>
解説:村上湛
仕舞
「白楽天」 浅見重好
「大江山」 上田公威
狂言「佐渡狐」
奏者:三宅右近
佐渡国の百姓:三宅右矩
越後国の百姓:三宅近成
能「井筒」物着
女/紀有常の娘:武田尚浩
旅僧:大日方寛
笛:一噌隆之
小鼓:観世新九郎
大鼓:柿原弘和
後見:上田公威、岡庭祥大
地頭:髙梨良一
<第二部>
解説:井上愛
仕舞
「菊慈童」 岡庭祥大
「鐘之段」 髙梨良一
狂言「鶏聟」
舅:三宅右近
聟:三宅近成
教え手:三宅右矩
太郎冠者:前田晃一
能「通小町」
深草少将:関根知孝
小野小町:髙梨万里
僧:殿田謙吉
笛:一噌隆之
小鼓:観世新九郎
大鼓:柿原弘和
後見:髙梨良一、上田公威
地頭:浅見重好