定期能三月-金剛流-
2026年3月21日(土)
第一部は宗家・金剛永謹が舞う能「融」。旅僧の前に潮汲みの老人が現れ、六条河原院のいわれを語ります。嵯峨天皇の時代、融大臣は陸奥の千賀の塩竃をここに再現し、難波から毎日潮を運ばせ、塩を焼かせたりして楽しまれたが、融大臣の死後は荒れ果ててしまったと昔を慕って嘆きます。旅僧の夢に融大臣が貴公子の姿で現れ、愛着の深い河原の院で名月に照らされながら舞を舞うが、やがて夜明けとともに消え去ります。今はもう取り戻せない滅びの美学を描く名作です。
第二部は豊嶋幸洋による能「土蜘蛛」。病床にある源頼光の許へやってきた僧は実は土蜘蛛の精でした。千筋の糸を投げかけ消え失せた僧を頼光の家来たちが追いかけ、見つけた古塚を突き崩すと中から土蜘蛛の精が現れ、糸を繰り出して退治に来た武者を悩ましますが遂には斬り伏せられます。歌舞伎舞踊にも採り入れられている、見どころが多く楽しめる曲です。
狂言は大蔵流茂山千五郎家による「茶壺」と「察化」。各部とも冒頭に上演演目の解説があります。
<第一部>
狂言「茶壺」
すっぱ:茂山千五郎
中国方の者:鈴木実
目代:茂山千之丞
後見:茂山茂
能「融 遊曲」
老人/源融の霊:金剛永謹
旅僧:宝生常三
所の者:茂山茂
笛:松田弘之
小鼓:大倉源次郎
大鼓:國川純
太鼓:小寺真佐人
後見:廣田幸稔、豊嶋晃嗣
地頭:金剛龍謹
<第二部>
狂言「察化」
太郎冠者:茂山千之丞
主人:茂山茂
察化:茂山千五郎
後見:鈴木実
能「土蜘蛛」
僧/土蜘蛛:豊嶋幸洋
源頼光:豊嶋晃嗣
胡蝶:向井弘記
従者:見越英明
独武者:福王和幸
同行の武者:村瀬慧
同行の武者:矢野昌平
独武者の家人:鈴木実
笛:一噌隆之
小鼓:田邊恭資
大鼓:大倉慶乃助
太鼓:林雄一郎
後見:廣田泰能、惣明貞助
地頭:金剛龍謹
解説:金子直樹(両部とも)




