定期能二月-金剛流-
2020年2月9日(日)
第一部は宗家・金剛永謹による能「通小町」。洛北八瀬の里で夏の仏道修行を行っている僧のもとへ毎日訪れる女があり、女を小町の霊ではないかと察した僧は市原野に行き亡き跡を弔います。やがて小町の霊と深草少将の怨霊が現れ、少将の怨霊は僧の求めに応じ百夜通いの様を見せ、やがて小町も少将も共に成仏します。驕慢な小町の気まぐれに翻弄された、少将の妄執の凄まじさが昔語りに垣間見られる名曲です。
第二部は流儀の重鎮・豊嶋三千春改め彌左衛門演じる能「羽衣」。駿河の国三保の松原に住む漁師・白竜が美しい衣が松の木にかかっているのを見つけ、家宝にしようと持って帰ろうとすると、天人が現れ、その羽衣が無いと天に帰れないと訴えます。白竜は羽衣を返す代わりに天人の舞を見せて欲しいと頼み、天人は喜んで承知し、月世界における天人の生活や三保の松原の春景色を讃え、舞を舞いながら天空へと上って行きます。原拠となった「羽衣伝説」は、日本の諸地方にも、また「白鳥伝説」としてヨーロッパ各地にも広く伝えられています。狂言は茂山千五郎家による「二人大名」と「狐塚」。両部とも冒頭に演目解説があります。
<第一部>
狂言「二人大名」
大名甲:茂山千五郎
大名乙:茂山逸平
道通り者:茂山宗彦
後見:井口竜也
能「通小町」
深草少将:金剛永謹
小野小町:金剛龍謹
僧:工藤和哉
笛:藤田次郎
小鼓:曽和正博
大鼓:柿原弘和
後見:廣田幸稔、豊嶋幸洋
地頭:松野恭憲
<第二部>
狂言「狐塚」
太郎冠者:茂山宗彦
主人:茂山千五郎
次郎冠者:茂山逸平
後見:井口竜也
能「羽衣」
天人:豊嶋彌左衛門
漁師白竜:森常好
漁夫:梅村昌功、則久英志
笛:藤田次郎
小鼓:曽和正博
大鼓:安福光雄
太鼓:桜井均
後見:豊嶋幸洋、宇髙竜成
地頭:松野恭憲
解説:金子直樹(両部とも)