定期能五月-宝生流-
2023年5月27日(土)
第一部は武田孝史出演の能「井筒 物着」。『伊勢物語』を題材にした、在原業平との恋を回想する物語です。旅の僧が奈良から初瀬への途中で訪れた在原寺で業平と紀有常の娘の後世を弔っていると、業平ゆかりの女に出逢います。その夜まどろむ僧の夢に紀有常の娘の霊が現れ、業平の形見の直衣を身に着け美しく舞を舞います。業平の面影に自身を重ね合わせて井戸の中を覗き込む姿、また言葉の美しさにもご注目ください。
第二部は宗家・宝生和英による能「綾鼓」。天智天皇の御所の庭掃きの老人が、宴で見かけた女御を見て恋慕に明け暮れます。池辺の桂の枝に掛けた鼓を打つ音が御所に聞こえたらもう一度姿を見せようと言う女御の言葉を伝え聞き、老人は綾絹張りの鼓は鳴るはずもなく、望みの叶えられぬことを怨んで池に身を投げます。老人の執心を慰める為に池辺に至った女御はたちまち狂気の態となり、そこへ老人の怨霊が出現し女御を責め、因果の報いを思い知らせた怨霊は鬼の姿となり再び池の淵へ身を沈めて行くのでした。
狂言は大蔵流山本東次郎家による「寝音曲」と「伯母が酒」。各部とも冒頭に演目解説があります。
<第一部>
狂言「寝音曲」
太郎冠者:山本則重
主:若松隆
能「井筒 物着」
里女/紀有常の娘:武田孝史
旅僧:森常好改メ 宝生常三
笛:杉信太朗
小鼓:鵜澤洋太郎
大鼓:國川純
後見:朝倉俊樹、高橋憲正
地頭:金森秀祥
<第二部>
狂言「伯母が酒」
甥:山本泰太郎
伯母:若松隆
能「綾鼓」
庭掃きの老人/老人の怨霊:宝生和英
女御:渡邊茂人
臣下:森常好改メ 宝生常三
従者:山本則重
笛:杉信太朗
小鼓:鵜澤洋太郎
大鼓:國川純
太鼓:小寺真佐人
後見:佐野由於、金森良充
地頭:大坪喜美雄
解説:金子直樹(両部とも)