定期能二月-金剛流-
2024年2月4日(日)※公演終了
第一部はこの度、重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された、金剛流宗家・金剛永謹による能「葵上 無明之祈」。元皇太子妃の六条御息所は、かつての恋人である光源氏の正室・葵上が懐妊した事に激しい嫉妬を覚え、生霊となって病に臥す葵上の枕元に現われ苦しめます。呼び寄せられた行者・横川の小聖が祈祷し、激しい戦いの末、御息所の怨霊は折り伏せられ、心安らかに成仏します。誰もが内に持つ執念の心から鬼に変わる瞬間が見どころの一つと言える、『源氏物語』を題材にした名曲です。
第二部は流儀の重鎮・豊嶋彌左衞門が舞う能「枕慈童」。古代中国、周の時代の穆王に仕えた少年・慈童は、ある時王の枕を跨いでしまい、掟によって流罪となります。七百年後の魏の文帝の時代、王の勅使が山の麓から出る霊水の源を尋ねると、山中の庵に慈童を見つけます。慈童は王より仏徳を書き添えた枕を賜り、その文字を写した菊の葉におりた露の霊薬を飲んでいた為に七百年後までも若々しく生きていました。慈童は菊水の功徳を讃え、文帝に長寿を捧げ、再び庵へと帰って行きます。
狂言は茂山千五郎家による「仏師」と「縄綯」。各部とも冒頭に上演演目の解説があります。
<第一部>
狂言「仏師」
すっぱ:茂山茂
田舎者:茂山千五郎
後見:山下守之
能「葵上 無明之祈」
六条御息所の霊:金剛永謹
照日巫女:宇高徳成
横川ノ小聖:福王和幸
臣下:矢野昌平
左大臣家の男:島田洋海
笛:一噌隆之
小鼓:飯田清一
大鼓:國川純
太鼓:小寺真佐人
後見:廣田幸稔、豊嶋晃嗣
地頭:金剛龍謹
<第二部>
狂言「縄綯」
太郎冠者:茂山千五郎
主人:山下守之
何某:茂山茂
後見:島田洋海
能「枕慈童」
慈童:豊嶋彌左衞門
魏の文帝の臣下:宝生常三
従臣:舘田善博
従臣:梅村昌功
笛:松田弘之
小鼓:田邊恭資
大鼓:柿原弘和
太鼓:桜井均
後見:金剛龍謹、豊嶋幸洋
地頭:廣田幸稔
解説:金子直樹(両部とも)