定期能九月-観世流-
2024年9月23日(月休)
秋の観世流公演、第一部は関根祥丸による能「歌占」。伊勢の神職渡会某は旅の途中急死しますが三日後に生き返り、地獄の恐ろしさを見て来たせいで白髪になってしまいます。その後和歌の短冊を引かせて占う旅の男巫子となり、加賀国白山の麓で里人と親に別れた子に出逢い、それぞれを占うと、父親を尋ねる子は既に親に逢っていると占いにあり、素性を問うと我が子であると分かります。巫子は里人との別れ際に地獄の曲舞を舞い、神がかりとなって正気を失いますがやがて狂いから覚め、親子は連れだって故郷へ帰って行きます。
第二部は上田公威が舞う能「葛城 大和舞」。旅の山伏が大和国の葛城山で大雪の中往生していると一人の女の庵でもてなされます。女は葛城の神であり、役ノ行者に命じられた岩橋を架けなかったため、不動明王の縛縄に苦しんでおり、加持祈祷で苦から救って欲しいと願います。山伏が女神のために祈祷していると苦を免れた喜びを述べ、舞を舞い、やがて暁近くなると暗い岩戸の内へ姿を消します。人間に近い性格を持った古代の神の気品ある、且つ女性らしさを感じさせる作品です。
狂言は和泉流野村万作家出演の「茶壺」と「内沙汰」。各部とも冒頭に上演演目の解説があります。
<第一部>
仕舞「玉之段」
観世三郎太
仕舞「鵜之段」
関根知孝
地頭:林宗一郎
狂言「茶壺」
すっぱ:野村太一郎
中国の者:中村修一
目代:岡聡史
後見:内藤連
能「歌占」
渡会某:関根祥丸
男:武田祥照
幸菊丸:林彩八子
笛:杉信太朗
小鼓:飯田清一
大鼓:亀井広忠
後見:武田尚浩、岡庭祥大、樹下千慧
地頭:坂口貴信
<第二部>
仕舞「富士太鼓」
髙梨良一
仕舞「融」
関根祥丸
地頭:関根知孝
狂言「内沙汰」
右近:野村太一郎
妻:内藤連
後見:岡聡史
能「葛城 大和舞」
里女/葛城の神:上田公威
山伏:宝生常三
所の者:中村修一
笛:杉信太朗
小鼓:飯田清一
大鼓:原岡一之
太鼓:梶谷英樹
後見:武田尚浩、坂口貴信
地頭:角幸二郎
解説:村上湛(両部とも)