定期能二月-金剛流-
2025年2月2日(日)
第一部は宗家・金剛永謹が舞う能「黒塚 白頭」。山伏祐慶の一行は、安達原で野中の一軒家に宿を乞い、家主の女は再三の願いに根負けして山伏たちを家に入れます。女は糸繰りの様子を見せ、様々に調子を変えて歌を謡いますが、夜が更けて冷え込みも厳しくなると、山から薪を採ってくると言い、閨を決して覗かぬようにと念を押して出て行きます。祐慶の供がそっと閨の内を覗くとおびただしい人の死骸があり、山伏たちが一目散に逃げて行くと、鬼に変じた女が約束を破ったことを恨み一行を食おうと襲い掛かりますが、祐慶たちが一心に祈ると鬼女はついに祈り伏せられ、夜嵐の中へ去って行きます。
第二部は流儀の重鎮・豊嶋彌左衛門による能「花月」。行方不明のわが子を尋ね僧となった父は、やがて清水寺の門前で出逢った花月と言う少年が我が子であると気付きます。親子は再会を喜び、花月は舞を舞って見せ、父と共に仏道修行に出ようと連れ立って行きます。親子の劇的な再会の物語ですが、当時の流行歌の小歌、弓矢を用いた弓之段、曲舞、羯鼓の舞、キリの山めぐりと最初から最後までテンポよく楽しめる作品です。
狂言は大蔵流による「右近左近」と「文蔵」。各部とも冒頭に上演演目の解説があります。
<第一部>
狂言「右近左近」
右近:茂山千五郎
女房:大藏基誠
後見:井口竜也
能「黒塚 白頭」
里の女/鬼女:金剛永謹
阿闍梨祐慶:有松遼一
同行の山伏:岡充
能力:茂山千五郎
笛:一噌隆之
小鼓:曽和正博
大鼓:國川純
太鼓:大川典良
後見:金剛龍謹、豊嶋幸洋
地頭:廣田幸稔
<第二部>
狂言「文蔵」
主人:茂山千五郎
太郎冠者:大藏基誠
後見:井口竜也
能「花月」
花月:豊嶋彌左衞門
旅僧:宝生常三
清水寺門前の者:茂山千五郎
笛:松田弘之
小鼓:田邊恭資
大鼓:大倉慶乃助
後見:廣田幸稔、豊嶋晃嗣
地頭:金剛龍謹
解説:金子直樹(両部とも)