能の魅力を知る 他力本願への祈り-当麻-
2025年10月13日(月祝)
「他力本願」とは、他者の力、特に阿弥陀仏の力によって救われるという考え方を指します。絶対的な信仰を表す言葉「南無」に続き、仏の名や経文を唱え、人々は自らの力では到底解決できない問題や苦しみに対して無限の慈悲を持つ仏の力を信じ、その救いを受け入れる姿勢を表します。能にも仏の救いを求める作品は数多くあり、中でも今回上演する曲は生きとし生けるものを救うという阿弥陀仏の誓いを仰ぎみる内容です。
十月は能「当麻」を上演。大和国当麻寺に参詣した旅の僧は寺で老尼と女に出逢い、老尼は寺の当麻曼陀羅の成立にまつわる旧蹟へと一行を案内します。そして中将姫がこの山に籠り生身の阿弥陀仏を祈ると如来が老尼の姿で来迎し曼陀羅を与えた事を語り、自分達こそ姫に曼陀羅を織り与えた阿弥陀仏・観音菩薩の化身だと明かし、西の空に消えて行きます。その夜。一行の眼前に、今や浄土に転生して菩薩となった中将姫の霊が現れ、生前に手ずから書写した経巻を僧に授け仏を尊ぶ様にと言い、美しい舞を舞います。
解説 高橋悠介
能「当麻」
老尼/中将姫:友枝雄人
侍女:内田成信
旅僧:宝生常三
門前の者:山本泰太郎
笛:一噌隆之
小鼓:成田達志
大鼓:亀井洋佑
太鼓:小寺真佐人
後見:中村邦生、狩野了一
地頭:香川靖嗣
【配役変更のお知らせ】
ワキ方下掛宝生流 殿田謙吉師ご逝去に伴い、能「当麻」の配役を以下のとおり変更いたします。
旅僧 宝生常三
ご了承の程よろしくお願いいたします。
(2025.3.31)